東証上場ETFは出来高に注意


「たった1銘柄で世界全体に投資できるのは、ETFだけです!」

そんなクールな商品のETFだが、近年、新しいラインナップが続々と登場している。特に注目なのが海外ETFだ。

現在では、日本のネット証券でNY上場、香港上場の海外ETFを買うことができ、もっとも多くの銘柄を扱う楽天証券では135種類の海外ETFを取り揃えている。また、東証に上場する海外の株式市場に連動するETFも増えており、タイETFやマレーシアETFも先頃上場したばかりだ。

「これら東証上場のETFは円建てで購入できるので、ラクでいいのですが、現時点ではNYや香港上場のETFのほうが出来高が多く、こちらのほうがベターでしょう。東証上場の海外ETFを買うのなら、1日1万口以上の出来高を目安にするといいでしょう」

こうした投資手法の長所と短所についてまとめたのが上の表だ。

「放ったらかしでいい」ETFの投資だが、ポートフォリオの組み方だけには力を注ぎたい。投資配分がリターンを左右するからだ。

「まず、どの程度リスクを取れるかを考える。それから、世界のどのエリアに投資したいか、イメージするといいでしょう。世界の株式市場を大きく捉えれば、先進国と新興国に二分できるので、この2つのエリアの投資配分を決め、ポートフォリオ全体のリスクを抑えるためにも債権のETFも組み入れます」

カン氏に組んでもらった標準的なポートフォリオが前頁右上図だ。円建てのMRFが40%含まれているのは、なぜなのだろう。

「ETFがいくら低リスクとはいえ、ETFだけで最大40%の損失を被る可能性があります。安全資産として円建てのMRFを組み入れることで、40%の損失リスクを20%に抑え込むことができます」

リスク管理が重要なのは理解したが、世界に投資できるのが海外ETFの醍醐味だろう。エリアでなく、中国やインドなど特定の国に投資するETFも上場している。

「そういう場合は、前頁右上に掲げた標準的なポートフォリオの25%を占める新興国株式への投資配分を20%に減らし、余った5%を好きな国のETFに投資するといいでしょう。ただ、中国ETFには、香港上場のものと大陸上場のものがあり、大陸上場のETFはお国柄ゆえ、政策で相場が動いてしまう……。ハンセン指数に連動する香港上場のETFに投資するのがベターでしょうね(下図・推奨銘柄参照)」



為替リスクは少なく、ひんぱんな買売も不要




だが実際に海外ETFを買う際、悩ましいのが為替リスクだ。

「例えばヨーロッパ株式のETFを購入する際の決済通貨がドルだったとしても、最終的にはこのドルはユーロやポンドになってヨーロッパの株式を保有することになります。また、そもそもETFは分散投資向きの商品です。新興国全体の株式ETFを買えば、20か国以上に投資することになるので、20か国以上に通貨分散したのと同じ結果になり、為替リスクはごく小さくなるのです」

では、売買のタイミングはどう図ればいいのだろうか。

「ETFは長期投資が前提なので、たとえば、まとまった資金を分割して一定期間積み立てるというのでもいいでしょう。指値ができるので少しでも安く仕込みたい気持ちはわかりますが、極端に言えば、いつ買ってもいい(笑)。長期投資なので、短期的な価格のブレは無視していい。ただ、まとまった資金を投入するときは1回で買わず、何回かに分けて買うこと。極端な高値を摑むリスクも減らせます」

こうして自分のポートフォリオを組んだら、年2回のリバランス以外は「放ったらかし」でいいという。

「当初のポートフォリオを維持するために、膨らんだ分は売却し、萎んだ分は買い増します。いわば年2回は利確と損切りをするわけです。あとは、世界経済の成長に乗っかるだけでいいのです」




カン・チュンド氏

インデックス投資アドバイザー、ファイナンシャルプランナー。晋陽FPオフィス代表。'03年よりETFに注目し、普及に勤しむ。「日本のビジネスパーソンに、シンプルで継続しやすい資産運用を啓蒙すること」をモットーに、各種マネー系セミナーも精力的に開催。著書に『日本人が知らなかったETF投資』(翔泳社刊)など