「インサイダー取引は恐らく毎日ありますが、発覚するのは氷山の一角。バレるのは、本人の脇が甘すぎるから」と断言するのは、経済ジャーナリストのX氏。

5月、30代の公認会計士による5銘柄の不正売買が明るみに出た。
野村證券の友人から企業買収情報を発表前に聞き出して株を買い、正式発表後に売り抜けたのだ。いくら先読み上手でも、5回連続で買収直前に買えるわけがない。
「証券取引等監視委員会は連日、『○○さん名義の口座はありますか?』と証券会社に情報提供を要請しています。金融庁検査での報復が怖いから、拒む証券会社はありません。

ある上場証券役員氏が言うには、仕手筋が絶滅寸前の代わりに、一般人の照会が増えているそうです。また、ある証券取引等監視委員は、『怪しい銘柄は1年でも2年でもかけて、全注文を徹底的に調べ上げる』と言っていますから、複数の証券会社を使い分けたつもりでも、パソコン上で名義人や住所を付き合わせれば一発で同一人物と見抜かれるのです。家族名義でも、もちろん即アウト」


しかし、バレて当たり前の自爆ケースもある。5月、ネット大手カブドットコム証券の社員が5月、自社株のインサイダー取引で証券取引等監視委員会の調査を受けた。
「本人の自慢話を聞いた同僚が、正義感から上司に相談したことが端緒だったと言われています。また、NHK職員3人が昨年、放送前の企業買収ニュースで不正取引したのが発覚した事件では、勤務中の株売買が目に余るため通報されたとも」

もっとも死角はあるという。

「今までバレたのは、取引の薄い銘柄ばかり。全取引を洗う手間のためか、一日の出来高1億株超えが珍しくないメガバンクや電機、鉄鋼株を舞台にした摘発事例はほとんど聞きません」

不正取引の絶滅を願うばかりだ。

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X氏
大手証券会社を経て、フリーの経済ジャーナリストに。
幅広い人脈と圧倒的な情報網で、あらゆる金融・経済事情に精通する