年金、ゆうちょマネーetc.[公的資金で株価維持]は本当か?


【ゆうちょetc.】
ほかにも流入がありうるが、目先の相場は大いに波乱含み



いわゆる“3月危機”を回避すべく、年金資金の買いなど、国があれこれ画策しているのは間違いなさそうだ。前出のマーケット関係者は指摘する。

「日経平均が7000円を割ると、日本生命の保有株が、含み益から含み損に転落する『逆ザヤ』の状態に陥ります。心理的な節目のみならず、生保最大手の損益分岐点でもあったのです。生保の運用損が膨らむと“3月危機”が現実となりうるので、7000円の死守に固執した面もあったのでしょう」

実際、国が巨額のマネーをマーケットに投じる道筋が続々と整いつつある。まず、日本銀行は'10年4月末までに最大1兆円の予算で日本株を取得する方針。そして、'02年の金融危機発生時に設立された「銀行等保有株式取得機構」も、20兆円もの資金を投じてETF(株価指数連動型上場投資信託)を購入することを検討中だ。

さらに、ゆうちょマネーを活用して、新たなスキームによる株式買い上げ策も検討されている。

「また、ゆうちょ銀行は現在、0.21%しか株で運用していませんが、民営化で収益拡大が命題となっているため、長い目で見れば、民間銀行並みの3%まで引き上げる可能性もあります。1%まで引き上げるだけでも、1.4兆円の買いが期待されます」(永濱氏)

ただし、これらの策に即効性と実現性は期待できないうえ、目先の相場は波乱含みだという。

「公正さを欠くとの指摘から、銀行等保有株式取得機構によるETF購入が見送られる可能性が出てきたことに加え、4月以降は制度変更に伴いGPIFからの新規資金流入がなくなる。すると、外国人の売りに対抗する買いが途絶えて、株価が急落する可能性も否定できません」(マーケット関係者)

永濱氏も同じく悲観的な見方だ。

「結局は“3月危機”を防ぐ策に終始し、その先を見ていない。今期決算が発表される4〜5月に7000円割れがありえそうです」

そもそも、7000円台の死守にこだわっていることがナンセンスだという批判も少なくない。

「こういう局面では、いったん大台を割ったほうが受給は改善しやすい。とことん安くなったら、自発的な買いが入るものです」(マーケット関係者)


GPIFを直撃取材!今後は買い手から売り手に!?


GPIFの日本株の運用スタンスは、TOPIXをベンチマークとしたパッシブ運用が中心。現在は右ページのようなポートフォリオを組んでいるが、どうやって策定されたのか?

「年金財政上の名目運用利回りである3.2%の確保が期待できることを前提としています。さまざまなシミュレーションを行った結果、リスクを国内債券並みに抑えつつ、目標リターンを上回る3.37%が期待できる現在の基本ポートフォリオが作成されました」

ちなみに、直近5年間のパフォーマンスは3%台〜9%台後半と好調に推移したが、'07度のみマイナス4.59%に甘んじたという。

「GPIFの運用は基本的にはキャッシュでもたず、全額投資するスタンスを取っています。なお、基本ポートフォリオにおける国内株式の配分比率は11%と定めていますが、±6%のバッファを許容範囲として持っています。これを超える水準まで株価が下がったら、調整が行われます」

今年の3月までは、財政融資資金(旧資金運用部)から償還された一部が年金給付に充てられ、残りの資金がGPIFに入っていた。

「その新たに入ってくる資金を使って、基本ポートフォリオの中で目減りしている株などの資産を買います。しかし、'09年4月からは、この資金が入ってこなくなります。そのため、逆に、年金の給付に使うための資金を弊社が用意して厚生労働省に渡すことになっています」

では、どこから捻出するのか?

「基本ポートフォリオのバランスを崩さないために、割合の大きいものから売っていくことになると思います」

現在、割合の大きいものとは「国内債券」だという。つまり、これまでGPIFに入っていた資金がなくなることで株の買い支えが行われず、これからはむしろ、年金給付への資金を用意しなくてはいけないため、国内債券の売りが出ることが予想されるのだ。

年金資金による買い安心感で3月危機を乗り越えても、4月以降は波瀾含みとなりそうだ。


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