昨年10月、約1700ポイントだった上海総合指数は、8月初めに3400以上まで一本調子で回復し、約2倍もの上昇を遂げた。ところがその後、一転して下げ、9月には2600ポイントまで急落してきた。市場では「バブル崩壊か」という疑心暗鬼も広がっているが、本当のところはどうなのだろうか?

 「銀行の新規貸し出しが急激に減ってきたのが原因です。6月はおよそ1・5兆元あった新規貸し出しが7月には3559億元、つまり2割程度にまで落ち込んだのです」(日本アジア証券外国エクイティ部)

 さらに8月も落ちるのではないかという疑心暗鬼が生まれ、相場の暴落を招いたのだ。中国では、銀行は政府の全面的な管理下に置かれている。銀行の貸し渋りは、当然、政府の意向だ。なぜ中国政府は融資を抑えにかかったのか? グローバルリンクアドバイザーズ代表・戸松信博氏が解説する。

 「現在の中国では、銀行の新規融資の約2割が投機に回ると言われています。政府がインフレ懸念も持つようになり、お金の蛇口を調整し始めたのです」

 しかし案ずることなかれ。右表のハンセン(香港)指数を見てもわかるとおり、香港市場はあまり下落してないのだ。

 「香港市場は、世界中の投資家が投資できるので、欧米をはじめとする外資の影響を受けやすい。しかし上海市場は、基本的には海外の投資家は買えません。そのため、政府の政策の影響を受けやすい面があるのです」(戸松氏)

 今回は中国国内での引き締めが暴落の引き金だったため、上海だけが下がり、ハンセン(香港)指数はあまり下がっていないのだ。

 「少し水の出す勢いを弱めただけ。中国の成長が止まったわけではないですし、金融緩和も継続。まだまだ蛇口から水が勢いよく出続けていることにマーケットが気づけば、この下落は単なる押し目だったとわかるでしょう」(同)

 テクニカルで長期トレンドを示す200日移動平均線が、今の上海総合指数は明確に上向いており、上昇トレンドが確認できる。

 「中国では2500〜2600ポイントが下値だと見ている人が多いのですが、200日線はだいたい2500ポイント。仮にここまで落ちてきたタイミングなら、中国株は絶好の買い場でしょう」

 「上海市場の下落につられて日本株まで下がるようであれば、むしろそこは、日本株の買いチャンスですよ」(田代氏)





戸松信博氏
グローバルリンクアドバイザーズ代表取締役。
中国やベトナムに詳しいテクニカルアナリスト。
著書に『「世界金融危機後」に狙う中国株』(角川SSC刊)など



田代尚機氏
TSチャイナリサーチ代表。
大和総研の中国株担当アナリスト、内藤証券などを経て独立。
著書に『レッド・センセーション好機到来!今こそ中国株』(角川SSC刊)など




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前身の金万証券から数え創業107年目の伝統。