【アナリスト編】いかに織り込まれていない材料を探すかがキモ!



前回では随分と手厳しい批判を受けてしまったアナリストの市況解説。何故、アナリストの解説というのは奥歯にモノの挟まったような表現になってしまいがちなのか? アナリスト側にも事情や言い分はある。フィスコの小川佳紀氏は、「市況解説はそもそも、現状の株価を踏まえた後講釈。性格上、何事も結果論で書かざるを得ないのです」と説明する。

「例えば、決算発表ですごくいい決算が出て、アナリスト本人は株価は上がると思っていたのに、実際には上がらなかったときは、『反応薄』なんて表現を使う。反対に、自分の予想通りに上がったときは、『市場は素直に反応』なんて書いたりするのです」

予想を外しているくせに、「織り込み済み」の一言で済ますなんて、少々卑怯な気もするが……。

「確かに、若干言い訳チックかもしれません。とはいえ、個人投資家と我々プロのアナリストの間では、『市場コンセンサス』の意味が違っている場合もありますから」

例えば、今期の営業利益の会社予想が100億円だったのに対し、実際の決算発表では150億円だったという場合。個人投資家は、『これはすごい』と思うかもしれない。しかし、既存のアナリストレポートでは、既に150億円と予測していたりする。アナリストがよく『織り込み済み』と書くのは、『そんなのとっくに知ってるよ』という意味でもあるのです」

ほとんどの個人投資家は、簡単にはアナリストレポートなんて手に入らない。個人とアナリストでは、情報リテラシーがまるで違うというわけだ。さらに、アナリストは機関投資家の動向にも詳しい。

「信託銀行の買い注文が多いなら年金系の買いだなとか、欧州系証券の買いが多いならヘッジファンドが買い戻したなだとか、ある程度、手堅い予測は成り立ちます」また、ファンドマネジャーやトレーダーなどから、「こっそり情報が入ることもある」。よって、手堅い予測を立てやすいともいえる。

とはいえ、市場は水モノ。アナリスト予想が、まったく当たらない場合ももちろんある。

「アナリストの社内外での評価は、予測が当たるかどうかで決まります。よって、予想が外れた場合、言い訳がましくなるのは当然(笑)。強気の投資判断を出したのに悪い決算が出てきてしまった場合、『下がった今こそ買い場』なんて言い訳をしたりするのです」

そもそも、レーティングからして、性格上、若干の問題がある。「一度、一番高く評価されたら、それ以上は上がりませんからね。だから、BグループからAグループに格上げされたばかりの銘柄が、ポジティブに反応することがあっても、長いことAにいる銘柄は、評価されなかったりする。そうした問題点もあるのです。結局、株で儲けるには『いかに織り込まれていない材料』を見つけられるかが肝。そのためには、市場のコンセンサスは今どこにあるか、正確に判断することです」

  


小川佳紀 氏

フィスコ株式リサーチ部アナリスト。1部から新興まで、個別銘柄分析を担当。ファンダメンタルズ分析による中長期的な銘柄推奨のほか、ディーラー向けに需給面に基づいた銘柄分析コメントを配信



【現役証券マン編】証券マンの甘言には、落とし穴が多数ある!?



「『ダブル・ボトムを形成しました。今が底値で、買いのチャンスですよ』。そんな売り文句を聞いたら気をつけて」とは、大手証券勤務、営業成績は常にトップクラスのA氏。2度底値をつけた後は上がるという意味だが、3度目の下落が待っていることもあり、「『トリプル・ボトム』という言い訳を用意するのが“一流”の営業マン」と警告。「節分天井・彼岸底」にも注意が必要。2月上旬からの株安が3月下旬で止まる習性を指すが、底値と信じて買った途端、急落に見舞われるケースもある。「3月には『彼岸天井』という相場格言もある」というから、証券マンは信用ならない。「夢の特効薬を開発」にも注意。「昔から特効薬のネタは『株価に効いても病気には効かない』というのが定石。株価上昇は短命に終わりやすく、個人が情報を得たときには既に相場がピークを過ぎているということがほとんどです」

高値で摑んだが最後、長期塩漬けでこっちが病気になりそう。

営業マンの甘言は利益確定のときにも出てくるから厄介だ。「『利食い千人力』なんて格言を使って早めの利益確定売りを勧めるときは、投信や外債などの違う商品に次々に乗り換えさせる殺し文句でしかありません」

次の一言が「投信は長期保有が有利」。だがA氏は「投信会社や証券会社に落ちる手数料は日割りで増えていくだけ」と指摘。“長期保有が有利”なのは売る側ということだ。