業界の常套句には隠された真意があった



新聞やテレビで見かける市況解説。投資の参考にしようにも、結局何が言いたいのかまったくわからない!なんて経験も多いはず。そこで、よく見かけるけれどイマイチ意味がわからない株式用語の本音を、プロに聞いて翻訳してみた!



【機関投資家編】横文字、期間が不明、主語がない用語に注意!


「東証では様子見ムードがさらに強まり日経平均株価は軟調だが、外国人投資家がリスク許容度を高めつつあるため、短期的にはリバウンドもありうる――」。

連日、このようなアナリストによる市況解説、新聞やネット記事の株式解説をよく見かける。だが、結局株は上がるのか、下がるのかサッパリわからない。どうして、市況観測には、曖昧な表現が多いのか? もしかして、裏に何か深い意味でも隠されているのか? 

「兜町カタリスト」として著名な櫻井英明氏は、「深い意味? ないない」と笑う。

「株式記者も、アナリストも、勉強不足、取材不足で、単に株価が動く本当の理由が分からないだけ」

記者は職業倫理上、自分で株式投資することができない規定だし、異動も多いため、多くの場合が、マーケットの勉強をそれほどしていない。だから、情報収集を金融機関のアナリストやストラテジストに頼らざるを得ない。しかし、そのアナリストからして「企業の財務分析をするのが仕事だから、本来株価の予想屋ではない。だから、なぜこの株が買われたり売られたりするのか、その背景は詳しく分からないのです」

財務分析をして投資評価をする対象企業に出入りしているうちに、ついつい肩入れしてしまったり、反対に、毛嫌いすることもある。

「ある企業は、アナリストに少しでもいいレポートを書いてもらおうと、説明会ではいつも高級料亭のお弁当を出していました。ところが、コストをケチってお弁当の質を“格下げ”したところ、レーティングまで“格下げ”されたなんて話もあります(笑)」

地道な企業取材を重ねる、特殊な人脈があるなど、ホンモノのアナリストもいるにはいる。だが、彼らは仕事がデキるだけに、近寄りがたい“難物”が多い。

「だから、面倒臭そうな人には近づかない。その代わり、過去記事や他社媒体でよく見かける有名アナリストや、親切にしてくれそうな人当たりのいいアナリストばかり取材してしまうんです」

アナリストからしてみれば、取材を受けて知名度が増せば、機関投資家の顧客にも、堂々とふるまえる上、人材としての価値も増す。

「こうした、記者とアナリストの持ちつ持たれつの関係が、株式解説の質を悪化させているのです」

では、どこに真実の情報はあるのか? それは、顧客の売買動向を握る証券会社のトレーダーたちが握っている。しかし、彼らは厳格な守秘義務があるため、顧客の機密はそうそう漏らさない。

「漏らしたところで、メリットがありませんから。運用担当者は、お客さんである機関投資家を儲けさせるのが目的で、個人投資家を儲けさせても邪魔なだけですから」

だから、記者やアナリストは、「きっとこうだろう」とお茶を濁した憶測記事を書くしかない。

「この間も、『午後2時過ぎに、中国人が先物を大量に買った観測から、日経平均は一時急騰』なんて報道がありました。でもね、中国の政府系ファンドが買ったかどうかなんて、誰も確認していない(笑)。というか、そんなことできるはずがない。だったらどうして、そんな記事が出るかっていうと、書き手が時間帯からそう予測しただけ。時差の関係で、欧米系の買いは、朝一番で来る場合が多い。中東のオイルマネー系もロンドン経由の場合が多いから、同じこと。だったら、残りはどこか?で、アジア系が浮上しただけの話なんです」



櫻井英明 氏

ストックウェザー「兜町カタリスト」編集長。日興證券で運用担当者、インターネット証券の営業企画、「株式新聞Weekly」編集長を経て、’08年より現職。ラジオNIKKEIの出演などでも有名