【 会 社 規 模 】

ヘッジファンドを選ぶうえで注意すべき点は何か? 3人の識者が共通して挙げたのは、「会社規模」「資産規模」そして「パフォーマンス」を見ることだという。

ヘッジファンドの運用会社といっても、その会社規模はさまざま。欧州最大の「マン」のように巨大な運用会社もあれば、スタッフが数人から数十人と、中小企業なみの会社も。

「何かあるとすぐ潰れそうな小さな会社よりも、バックがしっかりとした大きい運用会社のほうが間違いないと思います」(小林氏)

仮に海外籍ファンドの運用会社が潰れた場合、返金等の問い合わせは現地に英語で行わなければならず、非常に面倒だ。そうしたリスクを抑えるには「複数の運用会社のファンドに分散投資するのが有効かもしれません」(小林氏)

一方、冨田氏は「実際に資金を管理するのは、どの会社なのかを確認することも大切」だと指摘。運用会社は運用を指図するだけで、資金の出し入れは別の銀行などに委託するのが一般的だからだ。もちろん名の通った銀行であれば安心。運用会社が潰れても、銀行が顧客資金を受託管理していれば保全される可能性は高い。どの銀行に委託するかは、目論見書に必ず記載されている。

【 資 産 規 模 】

「運用額の小さいファンドは、ボラティリティが高くなりやすい傾向があります。安定性を望むなら100億円以上の運用規模のファンドがいいでしょう」(冨田氏)

運用に失敗して資産規模が小さくなると、満期を待たずに繰り上げ償還されてしまうこともある。「基準価額を割り込んだ時点で償還されるのは大きなリスク。投資する段階で、運用資産がある程度大きなファンドを選ぶべきです」(小林氏)。

【 パフォーマンス 】

ファンドの良し悪しを見る指標としては、「シャープレシオ」や「標準偏差」などがある。
もちろんこれらの指標を見ることも大切だが、木下氏は「最終的には過去のパフォーマンスで判断するに尽きます」と断言する。

「たしかに10年間無敗のファンドマネジャーでも、11年目に負けることはあるかもしれません。でも実績を上げ続けた人は、一度ぐらい失敗しても必ず取り返せる力を持っているものです。誰がどう運用しているのかもわからない商品を買うのですから、極論を言えば、信じてお金を託すしかありませんよね」(木下氏)

ボーナスゼロ&減俸、ファンド会社営業マンの現実


成績がよければボーナスがウン億円というのがヘッジファンドの世界。だがこの世界金融危機の今はどうなっただろうか?

「僕の会社は、海外の支店を閉鎖し、人員は半分近くリストラ、おまけにオフィスも半分の狭さになりました」というのはヘッジファンドの販売と運用をする会社の営業マン。

「ウチのファンドマネジャーも密かに去っていきましたし、他社でもクビになったファンドマネジャーはたくさんいます。2、3年前の、相場の調子がよかったとき独立した人も、ほとんどがファンドをたたんでしまってますね。僕自身は2年前に売っていたアジアファンドが大当たりして、年俸が700万円なのにボーナスが800万円も出ました。でも、リーマンショックで運用がうまくいかず、ちょっとした経営方針の失敗があったりして、去年はボーナスゼロ、今年もゼロが決定しています。
今年は年俸そのものも下がりました。家計は毎月赤字です。今年はなかったものとして考えたいですね」




冨田信太郎氏
ヘッジファンド、ブルーベア・インベストメント・マネジャーズ代表取締役社長。
関西学院大学卒業後、国内証券会社、HSBC証券、ゴールドマン・サックス証券などを経て’06年7月から現職。



木下晃伸氏
経済アナリスト。
中央三井信託銀行、三菱UFJ投信などを経て株式会社きのしたてるのぶ事務所設立。
アナリストとして国内上場企業1000社以上を訪問取材



小林基男氏
ファイナンシャルプランナー。
旧国際証券(現三菱UFJ証券)などを経て、'01年に投資運用アドバイスを行うファーストプレイスを設立。
近著に『サラリーマン副業ガイド』(小社刊)