「俺たちの稼業ってのはね、いつ札(逮捕状)が出て、ムショに入るかわかんねぇ。そんときに備えて、カネができたら純金の指輪や時計を買っとけってね。駆け出しの若造の頃にさ、兄貴分から言われたんだよ」

 と、いきなり物騒な話を聞かせてくれたのは、東海地方の暴力団で幹部を務める小村清氏(仮名・42歳)だ。小村さんがこの世界に入ったのは、今から23年前。当時の兄貴分から聞かされた"心構え"を守り、小村氏はある程度のカネが入ると、純金の時計や指輪を買うようになったという。

 「ムショから出てきたら、舎弟どころか組がねぇってのはざら。預けといたカネなんて、絶対になくなってる(苦笑)。そしたらカネがねぇだろ。カネがねぇヤクザ者は惨めそのものなんだ。カネは没収されることがあるけど、指輪や時計は留置してくれる。ムショを出て最悪の場合、金は換金性が高いから急場はしのげるわけだ」

 小村さんによれば、その筋の方方がキンキラファッションで身を固めるのには、彼ら独特の理由があるからだという。

 「いざというときの備えだけじゃない。俺たちの稼業をやってると、"同業の方"が強盗に来ることがあるんだ。闇金や裏風俗なんかやってたら警察には泣きつけないだろ? 売り上げを金に換えて銀行の貸金庫に入れたり、中には秘密の場所に穴掘って埋めたりするヤツもいるくらいなんだ(笑)。それに、こうやって隠しとけば、没収される危険も減るんだよ」

 一般人にはまるで理解ができない世界なのだが、金の存在は彼らにとっても重要だという。

 「指輪、ネックレス、時計にブレスレット。全部合わせて総額200万円くらい。売れば足元見られても100万円。当座はしのげるだろ」

 なるほど、納得の"金ファッション"なのであった。





小村清氏
東海地方の某暴力団に所属。
20歳の頃に買った24金のブレスレットは今でも"お守り"として持っているんだとか