8月4日、政府・日銀は過去最大となる4・5兆円の円売り・ドル買いの為替介入を行った。しかし、その後も円高・ドル安基調は続き、一時1ドル=75円95銭と円は対ドルで戦後史上最高値を更新。歴史的な円高水準が続くが、トラリピトレーダーたちのバトルの結果はどうなったのだろうか?




投資経験ゼロ、新聞もニュースも見ないけど、トラリピは強い味方



「FXトレーダーって言われるのにすごい違和感があるんです。FXって言っても、安定的に貯金しているようなつもりなので」と困惑するのは、主婦のくも子氏。

’09年の暮れに230万円で始めて300万円以上に増やした、れっきとした "FXトレーダー" だ。

「投資経験はゼロだし、新聞の経済面とかも読まないし、ニュースもまったく見てない。チャートの読み方も最初にちょっと勉強しただけで、今も読めないままなんです。FX口座にログインするのも月2回くらいだから、パスワードを忘れてしまいそう(笑)」

そんな彼女が頼りにしているのは「トラップリピートイフダン」、通称「トラリピ」。同じ価格帯で上下を繰り返すことが多い為替市場の特性を利用して、レンジの中で複数のイフダン注文を仕掛け(トラップ)、しかもそのトラップを何度も自動で繰り返すリピート機能を併せ持つ自動売買的な発注機能が「トラリピ」だ。くも子氏はトラリピを武器に、1年8か月で1・3倍以上、資産を増やした。

「米ドル/円の取引が中心で、最初に設定したのは、1ドル=80〜84円の間です。50銭刻みにトラップを仕掛け、買い注文は1万通貨、利益確定は50銭幅(利益額5000円)にしました」

さらに、今年1〜2月頃は1ドル=80円台前半で推移していたため、このレンジで頻繁に売買されるように81円台だけ10銭刻みにして、厚めに設定したという。

「このやり方で去年は約40万円、今年も40万円ほど勝っています。ただ、今年は円高が予想外で……」
 
’09年に設定してから放置状態のくも子氏は、1ドル=80円以上でしかトラリピを設定していない。そのため、80円割れが定着してしまうと、何も取引されず収益機会を逃してしまう。

「そこで7月、70円台に新たな注文を追加しました。注文数量を1桁落として1000通貨で、76〜79円台まで50銭刻み、500円の利益確定で設定しました。円高が進むにつれて注文が約定していきましたが、8月4日に日銀の為替介入があって、おかげでうまく利益確定できました!」


月12万円の住宅ローン。FXで支払えるように



新婚のくも子夫妻は3000万円の住宅ローンがあり、毎月の返済額は12万円となかなか重たい。

「年20%の利回りを目指していて、1か月あたり4万4000円の利益が目標です。当分は利益を出金せずに複利で運用していこうと思っています。もともと、ゼロになってもいいと割り切って入れたお金ですから、欲張らずにコツコツと取り組むつもり。でも、将来的には、毎月の住宅ローンをトラリピで全額賄えたら……なんて思ってます!」

これまでトラリピを使ってきて一番反省しているのは、81円台を10銭刻みにしたことだという。刻み幅を小さくすると、それだけ取引回数が増える。81円台を維持して行ったり来たりしているときは利益も増えるが、81円を割った水準が続くと決済できず塩漬けになってしまう。含み損が増えると、新たなポジションも取りづらい。

「トラリピを始めた頃の自分にアドバイスするなら、『欲張らずに50銭刻みにしておいて』ということ。それなら含み損が小さくて済み、70円台も1万通貨で取引できたので」

今後、円高がさらに進んでも大丈夫?

「ちゃんとシミュレーションして、今の設定なら、1ドル=66円程度まで落ちても大丈夫です。リスクをしっかり把握して、身の丈に合った注文をするのが大事ですね」


円は戦後史上最高値を更新!トラリピ投資家たちの戦果は?



1ドル= 75円95銭まで急騰した8月の為替相場。「トラリピは円高に弱い」と思われがちだが、果たしてどうだったのか?

「リピートの嵐でした¡」と興奮気味なのはトラリピ犬氏。豪ドル/円では60回以上の利益確定。30万円以上の利益だ。

「完全放置なんですけどね。勝因は仕掛ける幅が広かったこと。

1豪ドル= 70〜90円まで幅広く設定しているので、8月のように大きく動く相場では下から上までムダなく利益を拾えました。

今回のような荒い値動きが年2、3回はあるので、想定レンジを広く取っておくのはやはり有効ですね」(トラリピ犬氏)

仕掛けたレンジの範囲が明暗を分けたもよう。トラリピ犬氏と同じく放置派のくも子氏は、仕掛け幅の下限が1ドル= 80円と高かったため、8月の利益は少なめだが、70円台に追加した1000通貨トラリピが奏功して稼いでくれた。では、さーにゃ氏は?

「介入時には80円台まで円安に戻ると思ったので、自動で利益確定しないようにいったんトラリピの設定をキャンセル。介入後の高値をじっくり見極めて利益確定できました。9月以降は円高対策として、豪ドル/円を安値で狙っていきたいですね」(さーにゃ氏)

8月には「レバレッジ規制」もあった。

「8月になったら維持率が急減したので驚きました。ロスカットされる水準も上がってしまったので、1豪ドル= 50円台でも耐えられるように資金を追加して、計700万円にしました」(トラリピ犬氏)

放置派は気をつけて!