ここからは、お待ちかねのロジックについて解説したい。

 当然のことながら、シストレの成功は、いかに有効なロジックを導き出すかにかかっている。が、何も難しいロジックが必要というわけではない。

 「これまでにもお伝えしたようにシンプルに考えることが大事なんです。そのためには"森"を見ることが重要。1時間足で考えるよりも日足で、日足よりも月足でというようにまずは大局を考えるんです。僕がシストレを始めたときに真っ先に浮かんだ疑問は、毎月25日は上がりやすいのか? というものでした。お金が入る給料日には投資をする人が増えるんじゃないかと考えたわけです。そこからデータを基に検証作業を行っていけばいいわけです。難しく考えず、月初は上がるか下がるかなんていうロジックの検証からでも十分なんですよ」


明日から使える「水曜日売り」


 相場の世界でよく言われる、ゴールデンクロスやブレイクアウト、RSIなどのテクニカル指標は本当に役に立つのか? そんな疑問からも新たなロジックを生み出すことは十分に可能。Excelやシストレ専用プログラムソフトなどで検証し、有効性があるのか確認できれば、さらにパフォーマンスを上げるための試行錯誤を繰り返し、システムに磨きをかけていくところにシストレの醍醐味があるのだ。

 それでもロジックなんて考えられない……という人に1つヒントを。西村氏が見つけた、シンプルにして効果的なロジック素材を紹介しよう。

 右の図は、大証225の各曜日の平均的な値動きを分析したデータ。月火水がマイナス(陰線)で木金がプラス(陽線)となるが、最も目立つのが水曜日のマイナス幅だ。平均値動きがマイナス8円ということは、水曜日の寄り付きで225先物を売り、大引けで買い戻せば、平均8円の利益を得られるという仮説が成り立つ。

 このロジックどおりに、毎週水曜日だけ大証225を1枚ずつトレードした結果どうなるか? それを示したのが下のグラフだ。5年間(約250日分)のデータを検証した限りでは、一時的に資産がマイナスになることはあっても右肩上がりの資産カーブを描くことがわかるはず。

 日経225先物だと最低取引金額は取引価格×1000(日経225miniなら×100)となるため、資産カーブに当てはめれば5年間の累計損益はなんとプラス200万円近くにもなる!


検証を繰り返してブラッシュアップ


 ただしドローダウン(生じる損失の大きさ)もかなりあることには注意。フルにレバレッジをかければ一発で破産なんて可能性も……。ロスカットの水準を調整したうえで再度の検証作業を行うなど、ブラッシュアップしたいところ。

 西村氏が検証したところによれば、この⁄水曜日売り¤のデイトレードシステムは、実は日経225先物だけでなく、FX(特に米ドル/円)でもそれ以上の効果が確認されている。

 「ファンドや証券会社の自己売買部門など、巨額の資金を運用する機関投資家は顧客の資金を預かっているため、担当者の裁量で売買できる範囲が細かく決められているのです。ある一定のリスクがあったら、それをヘッジしなければなりません。現物株を大量に持っていたら、ポジションを少なくしたり、あるいは先物で売りのポジションを持ったりする。それがどうも水曜日に集中する傾向があるようなのです」

 このようにロジックがハマるには、やはりそれなりの理由がある。が、ことシストレに関しては理由を重視する必要はないとか。

 「理由ばかり考えると、その理由にぴったり合うようデータをはめ込んでしまうためです。これは熟練者が複雑なシステムを作るときに陥りやすい『カーブフィッティング』とも似ています」

 カーブフィッティングとは、特定の過去のデータに過剰に最適化する、というもの。過去の統計から逆算して「こうすれば勝てる」という、後出しじゃんけんのようなものにすぎず、これから発生する状況に対応しにくいロジックになってしまう可能性があるのだ。明確な理論からスタートするのは難しくても思いつきや疑問を形にすることから始めてもOK。複雑さよりシンプルさを追求しながらロジックを考えること!



西村貴郁氏
'75年生まれ。アーサーアンダーセン税務事務所、KPMG税理士法人を経て、ウエストビレッジインベストメント(http://www.wvi.jp/)を設立し、システムの販売やシグナル配信を行っている。
著書に『トレードステーション入門』(パンローリング刊)などがある