額の大きさに違いはあれど、苦い経験を持つのは、当然、勝ち組トレーダーだけではない。一般投資家も熱い思いの丈をぶつけてくれた。まず具っさん氏と同様にギリシャショックでやられたのは、鈴木彰さん(仮名・38歳)だ。

「深夜に車で帰宅中、ふと携帯でチャートを見たらNYダウが大暴落。連動するように米ドル/円もみるみる下がって……。目の錯覚かと思ったよ」

しかも、首都高を走っている真っ最中だったので手も足も出ない。

「そしたら突然、携帯にはマージンコールの連絡。損切りのストップロスを入れてなかったんだよね。錯覚じゃなかったことに気がついて、一気に青ざめた……」

顔面蒼白とは、まさにこのこと。気持ちは焦る一方なのだが、いかんせん首都高にはサービスエリアも少なく、車を止める場所がない。

「その前から米ドル/円は下がっていたけど、戻るだろうとナンピンしてたんだよね。それさえなければな……」

高速を降り、損切り注文をしようと携帯を開いたが時すでに遅し。「80万円が一瞬で溶けた。ストップロスの大切さを噛みしめたね」

不慮の事態にも備えて、ストップロスはお忘れなく。


あまりの暴落でパニックになり、両建てポジション


猛威をふるったギリシャショック時には、ほかにもさまざまなドラマが生まれていた。「暴落の直前に120円台のユーロ/円をロングしちゃったんです」と話すのは、佐藤健太さん(仮名・28歳)。だが、こちらはただ黙ってやられていたわけではなかった。

「目の前で落ちていくチャートと、赤字が踊る口座を見ていて半狂乱。血迷ったか、損を止めるために両建てしちゃったんです(笑)」

たしかに両方のポジションを持てば、さらなる損失を被ることはない。まるで時が止まったかのようだ。しかし、それもあくまで付け焼刃でしかなく……。

「その先は、進むのも戻るのも地獄。口座に余裕がないから数枚でしかトレードできないし……」

その後は面倒なポジション調整に悪戦苦闘するハメになった。

「今考えれば、被害が少ないうちにちゃんと損切ればよかった……。でも、その120円台のユーロ/円ロングは、"自戒"の意味も込めてまだ持っていますよ」



トレンドラインを引き間違えて、往復ビンタをくらう


「私の場合、往復ビンタをよく食らうんです……」と、やや焦燥ぎみに話すのは朝井和也さん(仮名・32歳)だ。

「トレンドラインを引くんだけど、それって自分しか見ていないってくらいニッチなラインなんですよ。みごとに逆をつくんです」

パターンとしては、ラインをブレイクしたからついて行こうと買いでエントリー。しかし、それが間違いでずるずると下落する。

「ダメだと思ってドテンすると、そのポイントが底だったり。取り戻そうとがんばるほど、後手後手になっちゃって……。結局、自分で『こっちに行くだろう』と思い込んでラインを引くからダメなんですよね。ちゃんと見定めないと」

はまってしまった場合は、一度相場から離れることも必要だろう。

ほかに、「手法が定まらずに適当に取引していたら大負け」( 38歳男性)や、「スワップ狙いで損切りを入れなかったら暴落した」( 24歳男性)などの声も聞かれた。それらを総括すると、負け方は大きく次の3つに分けられるようだ。

 ・「取引枚数を多くし過ぎた結果、含み損に耐えられなくなる」
 ・「熱くなって、自分の決めたルールと違うトレードを始める」
 ・「大きく相場が動くときに、損切りのストップを入れてなかった」

「FXに必勝法はない」との格言はあるが、負け方にはパターンがあるハズ。これらの悲劇を糧に、億越えトレーダーを目指すべし!