ロットが大きい男売りで大損害……


「オレにとっての痛恨のトレードは、やっぱり2年前の8000万円の損切りだよな……」

遠い目で兄貴は語り出す。酒田五法や「男売り」を繰り返し、今や2億円をも稼ぎ出している彼だが、その損切りもスケールが違う。

「’08年10月のリーマンショックで、米ドルも英ポンドも大暴落しただろ。あのとき、オレは男売りをガンガンかまして、8000万円ぐらい儲けてたんだよ」

当時の米ドルは、110円台から90円台へ下落。それを見た兄貴は追撃の手を休めなかった。


「フランスのサルコジ大統領も『米ドル紙幣はケツも拭けないただの紙』って言ってたし、俺も価値が高すぎると思った。米ドル/円は80円まで下がるって信じて男売りだよ」
 
’08年12月半ば、88円台から男売りをかましていく兄貴。その後、多少上昇しても、ナンピンしてポジションを増やしていた。

「正直、10円下げれば2億円ぐらいの利益になるんだ。そしたら、FXは店仕舞いして石垣島に隠居しようと思ってた。ところが、なかなか下がらねぇんだよな」

アメリカ大統領はブッシュからオバマにチェンジ。次々と世界恐慌への対策がとられた。

「ま、こっちは下がるって信じるしかねえ。ドンと構えて、銀座で飲み歩いてたりしたけどよ。あの時の相場ほどイカサマだと思ったことはねえな……」

兄貴の思惑とは裏腹に米ドル/円は102円まで上昇。

「一時は1億円ぐらい含み損になったんだ。でも、これ以上は耐えられなかったから8000万円の損切り。さすがのオレも堪えたよ」

数日間は何もできず、放心状態。西表島に静養に行くなどして、平常心を取り戻したのだとか。

「まぁ、ちゃんと出金しておいた6000万円があったから退場せずに済んだ。きっと神様が『人様を助けて世の中に貢献しなさい』って言ってきたんだよ。そこから、自分の本を書いたんだ」

兄貴がメディアに出るようになったのには、この痛恨トレードがあったからなのだ。この損切りをバネに資産を増やし、今では、かねてからの夢だった石垣島に移住を果たした。

「結局、1億円儲けるためには1億円負けることを覚悟しなきゃいけねえ。俺は信じてそれで負けたんだ。詰まるところ、勝負ってものはそういうものなんだよな……。でも、結果には満足してる」

こう言い切ってしまえる辺りが兄貴のカッコよさなのか。そして、今でも虎視眈々と男売りのチャンスを狙っているという。

「最近、ユーロは利上げ予測が出てから爆上げしただろ。でも、俺はイカサマじゃないかと思う。欧州の経済状況を見れば、まだまだ問題を抱えているしな。頃合い見て、今度はユーロを思いっきり売りかますぜ」

FXで一攫千金の夢を見るためには、全力でポジションを持つことも必要。ただし、相応のリスクがあることを忘れずに。特に、男売りならなおのこと。








兄貴

「酒田五法」を駆使して2億円以上稼ぎだしたFXトレーダー。
『FXデイトレード兄貴の随筆』