初心者が誤解しやすいポイントも多い。
リスクと合わせて、陥りがちな誤解を認識しよう。



【1】債券なら絶対に株よりも安全?


債券は満期に元本が戻ってくるので、元本割れのリスクがある株よりもリスクが低い気がするが「一概にそうとも言えない」と中村氏。

「日本の国債と株を比べたら、それは国債のほうがローリスクでしょう。ただし、債券には種類があります。外債の場合は、外国の通貨で債券が買われるため、為替変動の影響を受けます。ファンドを買ったときより円が著しく高くなれば、為替差損のために元本割れするかも。為替変動の激しい新興国通貨だと、為替変動リスクはかなり高くなります」(中村氏)

信用リスクが高い商品も多い。

先進国の国債ならまだしも、「ハイ・イールド債や新興国債券は信用リスクが高く、株以上に激しく値動きすることも。日本の国債と同じような感覚で『債券=安全』と十把一絡げに判断するのは危険です」(内藤氏)




【2】買うときは円だから為替リスクはない?


ファンドを買うときは円なので、「為替変動」といわれても、ピンと来ない人もいるはずだ。

「実際には、投資家のお金はすぐに外貨に換えられるので、為替変動の影響は大。外国資産に投資をする投信には『為替ヘッジあり』と『為替ヘッジなし』というタイプがあります。為替ヘッジとは、将来の為替変動のリスクを回避するために、あらかじめ為替レートを固定すること。『ヘッジあり』だと為替変動リスクは避けられますが、その分コストが発生することも。しかも、為替差益が出る局面で利益を享受できないため、投資の旨味はあまりないかもしれません」(中村氏)



【3】新興国債券ファンドは必ず値上がりする?


いま注目の国・ブラジルは、政策金利が10・75%(3月9日現在)。ほかにも、金利が高い新興国は、総じて債券の利率が高いので、一見投資対象として非常に魅力的だ。「ただ、金利がさらに上がると債券価格は下がるので、その国がバブル的状況にある場合、利上げによる債券価格の値崩れ、それに伴うファンドの値下がりが気がかり。新興国には政変などのカントリーリスクもあり、デフォルトの可能性もついて回ります。

必ず値上がりするとはとても言えません。大金を一括でつっこむと、高値摑みをする危険性も高いのです」(中村氏)



【4】分配金の支払いが多いほど儲かる?


「毎月分配金が出るタイプが人気ですが『分配金が多い=儲かる』は大間違い。分配金が多くても、運用成績がイマイチの買ってはいけない商品もあります」(内藤氏)

分配金が頻繁に入ると儲かっている気がして嬉しくなるが、基準価額が大きく目減りしてしまったら、分配金をたくさん受け取ってもトータルではマイナス。

「毎月分配金を出そうとすると、そのファンドは常に分配金用のキャッシュを持っている必要があり、その分は運用に回せません。つまり、投資効率が悪くなるのです。

しかも、収益が出ていない場合は、元本部分から無理やり分配金を捻出するので、タコ足配当状態。『分配金がもらえてラッキー』などと喜んではいられないのです。特に、これから資産形成を目指す若い方は、分配金の支払いが少ない投信を検討すべき」(内藤氏)



【5】外債ファンドは長期投資が基本?


債券は満期まで長期投資をするのが原則。そのため、債券に投資するファンドも長期投資すべきだと考える人は多いだろう。何度も出てきた通り、いまは毎月分配型が多いので、分配金を受け取るため長期志向の人も多数派だ。

しかし、外債ファンドの中にも「長期投資向けとそうでないものがある」と中村氏は言う。

「資産配分に配慮した国際分散投資型のファンドなら、長期投資が原則でしょうが、値動きの激しい投信を数本持つだけなら、株式を複数銘柄保有しているのと同じ。決して長期投資に向いているとは言えません」(中村氏)

とはいえ、投信は株より買い付け時の手数料がかかるので、元々短期売買には不向きなはず。中村氏によると、「そのわりに短期売買前提で組成されているとしか思えないファンドも多い」。儲かるのは金融機関だけ。投資家にとってトラップのような外債ファンドもあるので注意しよう。



中村 宏氏
ファイナンシャルプランナー、ワーク・ワークス代表。個人のコンサルティングやセミナー講師、雑誌への執筆など、多方面で活躍中





内藤 忍氏
マネックス・ユニバーシティ代表。マネックス証券などを経て現職。セミナー講師も務める。新刊「貧乏は99%治る」好評発売中!