2011/5/17 トレイダーズ証券「みんなのFX」

昨日のドル円は、終日方向感の定まらない展開となった。東京市場序盤は、日本の3月機械受注が前月比+2.9%と予想の同-10.0%を大幅に上回ったことに加えて同時刻に発表された4月国内企業物価指数でも前年比+2.5%と予想の同+2.1%を上回ったことで円が買われると一時80.632円まで軟化した。その後は本邦輸入企業のドル買いに加え、米格付け会社ムーディーズが「日本以外のアジア太平洋地域の企業について、格付けは安定的なトレンドを維持する」と発表したことも円売り材料となり、一時81.05円付近まで反発した。欧州勢が本格的に参入するとGLOBEXのNYダウ先物が下げ幅を拡大し欧州株も軟調推移となるなか、リスク回避の円買い圧力が強くやや押し戻される場面もあったが、値動きは限定的で概ね80.80円前後でもみ合いが続いた。NY市場でもニューヨーク州製造業景況指数が予想を下回ったのを受け、一旦はドル売りが強まったものの、一巡すると再び売り買いが交錯する展開となり、引けにかけても動意に乏しく前日比-0.080円の80.772円で取引を終えた。

ユーロ円は、ギリシャの債務懸念が引き続き重石となったほか、次期フランスの大統領選挙への出馬が有力視されていたストロスカーンIMF専務理事が、婦女暴行容疑での逮捕、訴追されたとの報道が材料視されると、東京市場では一時113.40円付近と3月18日以来の安値まで下値を拡大した。欧州勢参加後はノボトニー・オーストリア中銀総裁が「ギリシャがユーロ圏から離脱するというのは経済的にみてナンセンス。ECBは金融政策の正常化に時間をかけすぎるべきではないだろう」と発言するとリスク許容度が改善し114.50円付近まで持ち直した。NY市場に移ると特段材料は見当たらなかったものの、ユーロ圏財務相会合でのギリシャを巡る協議を見極めたいとのムードからポジションが調整され、ショートカバーが散見すると一時115.227円まで上昇した。ただ、その後ショイブレ独財務相が「今夜のユーロ圏財務相会合ではギリシャについて協議するが、いかなる決断もこの日に下さない」と語ったほか、NYダウが下げに転じ、WTI原油先物相場も下げ幅を広げたため、114.397円まで上げ幅縮小して取引を終えている。


今日の展開


ドル円はシカゴIMM通貨先物のネットポジションを見ると円売りポジションから円買いポジションへ転換しており、円買いの巻き戻しが出やすい地合いであることから急激な円高圧力は和らぎそうだ。しかし、明日公表されるFOMC議事録はハト派的な内容となる可能性が高いほか、ギリシャの債務再編問題や、中東情勢の緊迫化を背景としたリスク回避志向の拡大に、米債利回りが低下する可能性も否めず、引き続き上値は重いだろう。テクニカル面でも先週は一時反転上昇となり、5月5日につけた79.562円の安値が2番底となるか期待されたが、81円台で4度上値を抑えられたことで上昇期待は後退している。また、日足一目均衡表では、トレンドを示す基準線は徐々に下落を描いており、同雲下限80.90円付近もレジスタンスとしての性格を帯びていることを考えれば、再び下押し圧力が強まっている感は否めない。80.00円割れを意識せざるを得ないだろう。

ユーロ円だが、先週発表されたユーロ圏GDPを見れば、ドイツやフランスの経済は申し分なく、好調なファンダメンタルやユーロ圏インフレ率の高まりを背景とした上昇も想定される。しかし、ストロスカーンIMF専務理事が逮捕されたことでギリシャ支援にも支障が出る可能性があり、ユーロにとって重石となることは避けられないだろう。また、今夜の欧州連合(EU)財務相理事会だがギリシャ支援にドイツが難色を示しているほか、アイルランドの返済金利引下げや、ポルトガルの緊急援助問題などPIIGS再編を巡る不透明感が上値を抑える状況が続きそうだ。対ドルも1月以来の上昇トレンドラインを完全に割り込んでおり、当面は1.400ドルを目指す展開か。仮に下抜ければ日足一目均衡表の雲下限1.3950ドルや、フィボナッチ(1.28736ドル→1.49398ドル)半値押しの1.390ドルが視野に入ろう。

[今日の予想レンジ]
ドル ・円 80.00-82.00
ユーロ・円 113.00-116.00
ポンド・円 130.00-133.00

【今日の主な経済指標】
10:30 AUS  豪中銀金融政策決定理事会議事録
17:30 GBR  消費者物価指数
17:30 GBR  小売物価指数
18:00 GER  ZEW景況感調査
18:00 EUR  ZEW景況指数
21:30 USA  建設許可件数
21:30 USA  住宅着工件数
22:15 USA  鉱工業生産
22:15 USA  設備稼働率

≪2011年5月16日クローズ時点≫
ドル・円   :「ブル」
ユーロ・円  :「ブル」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円  :「ブル」
NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。


ドル円は「ブル」
リスク選好の度合いに合わせて、安全通貨のドルと円が同じ方向に動いたため、「ブル」
に変化は見られなかった。明日は、QE2終了が決定された4月26日・27日分のFOMC議
事録が公表されるが、既にバーナンキ議長の記者会見も行われており、議事録にサプラ
イズとなる内容が含まれている可能性は低く、引き続き米長期金利の低下を背景にドル
は上値の重い展開となろうか。ただ、ロックハート・アトランタ連銀総裁が「QE3を実
施するには非常に高いハードルがある」「QE3はおそらく必要ないだろう」とコメント。
更にコチャラコタ・ミネアポリス連銀総裁が「FRBは政策金利を0.50%引き上げるべき
だ」「コア・インフレが2011年に1.8%まで上昇すれば、FRBはよりアグレッシブに利
上げをすべき」などのタカ派発言も散見しており、ポジティブサプライズも完全には否
定できないだろう。


ポンド円「ブル」
リスク回避の動きがやや一服したほか、ユーロが買い戻されたことでポンドもつられて
買いが入り「ブル」となっている。本日は4月の英消費者物価(CPI)が発表され、事前予
想では前年比4.1%と前回4.0%からは上昇する見通しとなっており、今月始めに発表に
なっている英小売店協会(BRC)店頭価格指数が前回から伸びが上昇していたことから、
今回も上昇率は前回を上回る可能性が高いだろう。また、18日は英雇用統計、19日には
英4月小売売上高の発表と材料が目白押しとなっており、今後の英金利動向の行方を占う
上において今週は正念場となりそうだ。


豪ドル円「ブル」
NY原油先物が続落するなど豪ドルも下落のモメンタムが見られるが、RBAは「ある時点
で高金利が必要とされる可能性がある」とし、将来的な利上げの可能性に含みを持たせ
ていることから参加者の買い意欲は旺盛で「ブル」となっている。本日は豪準備銀行(
RBA)議事録が公表され、声明文で「経済成長とインフレ動向を注意深く観察し続ける」
との方針が加わったことから、この部分に関する詳しい内容に、利上げをめぐる時期が
早まるかどうかといった点が注目されそうである。ただ、中国の金融引き締めスタンス
は維持されているほか、商品安基調が続いており、資源国通貨は積極的に買いづらい局
面とみる。また、ギリシャの債務問題を巡る不透明感からユーロが売られた場合は、リ
スク回避の地合いから連れ安となる可能性も小さくないだろう。


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