2011/3/3 トレイダーズ証券「みんなのFX」

昨日のドル円は、中東の民主化デモがOPEC第2位の産油国であるイランに飛び火したことを嫌気して逃避通貨とされる円を買う動きが先行し、東京市場序盤から81.85円付近で弱含む展開となった。その後はモデル系ファンドの買い観測や、米10年物国債利回りの上昇につれ一時82円台を回復したものの、上海総合を始めとするアジア株が軒並み下落したほか、日経平均も前日比-261円と大幅安で取引を終えるなど82円台前半では上値も抑えられた。欧州市場では材料難のなか欧州の強い経済指標を受け、対ユーロでドルが弱含んだことで上値は重く、81.90円付近でもみ合いが続いた。NY勢参加後に注目された2月ADP雇用統計が発表され、21.7万人と市場の事前予想(18.0万人)を大きく上回り、2010年12月以来の高水準となった。詳細を見ても中小企業(+10.0万人)中堅企業(+10.4万人)大企業(+1.3万人)と全ての規模で雇用は拡大しており、セクター別でも製造業、財生産業、サービス業が数字を伸ばす好結果に一時82.20円付近まで上昇した。しかし、その後はWTI原油先物相場が102ドル台乗せとなり、景気の先行き不安からドルフランが0.9202スイスフランと史上最安値を更新したことや、ユーロドルが大幅高となったことなどにつれたドル売りが入り、81.578円と日通し安値まで下落した。引けにかけ、米地区連銀経済報告(ベージュブック)で「1月から2月初旬にかけて、全体的な経済活動は緩やかなペースで回復を続けた」「労働市場の状況は全ての地域で緩やかに回復を続けた」などの内容が伝わり、米景気の回復期待から81.861円まで反発し取引を終えたが、3日ぶりの反落となっている。

ユーロ円だが、東京市場では日経平均やアジア株の下落を受けて、リスク回避の円買いが優勢になった上、キーNZ首相が利下げを容認する発言をしたことでNZドルの下落につられたこともあり112.50円付近へと下落する展開。しかし、明日にECB理事会を控えてショートポジションを大きく傾けづらく下値も限られるなか、買い戻しが優勢になるとGLOBEXのNYダウ先物の持ち直しを受けて、リスク選好姿勢がやや回復したこともあり、欧州市場序盤に113円を回復した。買い一巡後もユーロ圏の1月生産者物価指数が前月比+1.5%・前年比+6.1%と、いずれも市場の事前予想(前月比:+1.1%・前年比:+5.7%)を上回り、前月比はユーロ導入以来、前年比も2008年9月以来の高水準を記録し113.25円付近まで続伸。NY勢参加後もNYダウが50ドル超上昇した場面では、リスク許容度の改善を意識した買いが入り一時113.450円まで日通し高値を更新した。引けにかけても明日の欧州中央銀行(ECB)による早期利上げ観測を背景とした買いが断続的に入ったことで高値圏でもみ合いとなり113.526円で取引を終えている。


本日の展開


リビアやイランを中心とした中東情勢不安を背景にウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油先物では一時1バレル102.20ドルまで上昇し、NY金先物は1438.20ドルと最高値を更新するなどリスク許容度は低下しており、リスク回避型の円買いに注意が必要となろう。特にイランの民主化デモがエスカレートした場合は原油相場がさらに上昇し、株安・円高の連鎖が高まる上、逃避資産の米国債に資金がシフトし、米長期金利の低下を通じてドル売りが強まる可能性も高そうだ。また、バーナンキFRB議長が、上院委員会にて一昨日に続いて、半期金融政策報告を行ったものの、量的緩和策の見直しについては言及しなかったことで金利面からのドル売り圧力も継続している。ただし、ドル円に限っては共に安全通貨として買われやすい上、2月ADP雇用統計が上振れしたことで金曜日の米雇用統計までは積極的に下値を試す動きも限定されやすく、まとまった買いオーダーが観測されている81円前半を割り込むには材料不足かもしれない。

ユーロ円は、本日のECB理事会でインフレリスクに対する文言を強めるとの見方が強く、金利先高観に一定のサポートを受けそうだ。更に今週に入りユーロ圏GDP上方修正、2月欧消費者物価指数、1月欧生産者物価指数、独製造業PMIや独雇用統計など足元のファンダメンタルも支援材料となろう。また、テクニカル面でも年初来安値である106.820円からの上昇トレンドは続いていることや、MACDも買いシグナルと確認できる上、113.00円付近に差しかかる5日と25日移動平均線もサポートとして機能しており、下落余地は限定的となろうか。ただ昨日も記述したが、期待が先行して高まっているだけにECBの利上げ観測が後退した場合には、利益確定の売りが優勢となる可能性に留意しておきたい。 また、中東地域が再び緊迫度強めており、米軍やNATO軍の軍事介入が検討さるなどリスク許容度の低下も気になるため深追いは禁物だろう。

[今日の予想レンジ]
ドル ・円 81.00-83.00
ユーロ・円 111.50-114.00
ポンド・円 131.20-135.00

【今日の主な経済指標】
16:00 DEM 小売売上高指数
17:15 CHF 実質小売売上高
18:00 EUR サービス部門購買担当者景気指数
18:30 GBP サービス部門購買担当者景気指数
19:00 EUR 四半期域内総生産
19:00 EUR 小売売上高
21:45 EUR 欧州中央銀行(ECB)政策金利
22:30 USD 新規失業保険申請件数
22:30 USD 四半期非農業部門労働生産性
00:00 USD ISM非製造業景況指数

≪2011年3月2日クローズ時点≫
ドル・円   :「ブル」
ユーロ・円  :「ベア」
ユーロ・ドル :「ベア」
英ポンド・円 :「ブル」
豪ドル・円  :「ブル」
NZドル・円  :「ブル」

※ブルは「買い」、ベアは「売り」、スクウェアは「拮抗」になります。


ドル円は「ブル」
安全通貨同士のため大きな動きはなかったものの、テクニカル面で81.60円付近
が強いサポートになって下落を阻んでおり、同水準での買い意欲は旺盛で約90%
の参加者が「ブル」となっている。2月16日につけた83.969円を高値に下落傾向
にあったが81.60円付近では直近4日間しっかりと値固めをしており、短期的に反
発する可能性もあるだろう。ただ、上値に関しても日足一目均衡雲下限や21日移
動平均線などが集中する82.40円付近が強い抵抗帯となっているため、ボックス
相場となった場合はRSIを頼りに逆張りが有効か。


ポンド円「ブル」
利上げに対する英中銀政策委員の意見が割れており、参加者は難しい判断を迫ら
れ売り買いが拮抗する展開となったが、英国の2月PMI建設業の好結果(予想:
52.8、結果:56.5)が支援要因となって僅かに「ブル」が勝った。しかし英中
銀政策委員のインフレリスクに対する各メンバーの意見の隔たりは大きく、少な
くとも当面は政策会合での利上げは決定できないと考える事もできる。また、中
東の政情不安から投資家の不安心理を示すVIX指数(恐怖指数)は基準となる20
を超え20.70となっており、リスク回避による下落リスクは常に警戒する必要が
あるだろう。バイアスは弱気としておきたい。


豪ドル円「ブル」
原油や金価格は歴史的な高水準で推移するなど、市場ではインフレ期待が高まっ
ていることから、参加者も再利上げへの期待感は継続しており下落局面では押し
目買いが優勢で「強気」スタンスに変化はなかった。しかし、イランの民主化デ
モがエスカレートし、政情不安が高まっているため、株式市場にも重大な影響が
及ぶ可能性があり、ダウンサイドリスクが高いと見ておきたい。また、スワン豪
財務相の「最近の自然災害の影響で、第1四半期GDPの伸び率を1%押し下げる見
通し」との発言を受け、今後の景況感が弱気な見通しとなれば、早期利上げ観測
も遠のく可能性もあり警戒が必要となろう。


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