日銀が8月30日に臨時政策委員会を開き、金融市場への資金供給額を20兆円から30兆円に増額した。短期金利はすでに実質0%だが、資金の需給をもっと緩めることで、世の中のカネ回りをよくするのが狙いだ。この低金利、いつまで続くのか?

 「日銀は期限を決めていないが、少なくともデフレ=持続的な物価下落が止まるまで、ゼロ金利を中止するわけにはいきません。消費者物価は年1・1%ペースで下落。不況で低価格志向が強まっている中、円高で輸入品は一段と下がり、物価は安くなる一方。増税以外に物価の上がる要因は見当たらず、'12年前半まで物価の前年割れが続きそうです」(X氏)

 1%の物価下落とはいえ、破壊力は想像を絶する。GDP500兆円の日本で1%の物価下落が2年続くと、単純計算で10兆円の経済活動が消えることになる。経済対策に1兆円使えば「大型対策」と呼ばれるが、文字通り1桁違う影響があるのだ。物価が下がっているのにゼロ金利を止めれば、今よりもっとカネ回りが悪くなり日本経済は崩壊しかねない。

 「ゼロ金利で潤う業種といえば不動産。超優良企業の三菱地所と三井不動産はともに1兆7500億円の有利子負債があるが、構造的に多額の借入金がなければ事業が回らない業種。このため、金利が低下すれば支払い利息も減って、業績にストレートに好影響が出てくるでしょう」

 10年国債の利回りが一時0・8%台に低下するなど、資金運用が難しくなっている。日銀が'06年まで続けた量的緩和政策が都心部の不動産バブルを生んだのは記憶に新しいが、どうやら再びミニバブルが生まれそうな雲行きだ。





X氏
大手証券会社を経て、フリーの経済ジャーナリストに。
幅広い人脈と圧倒的な情報網で、あらゆる経済・金融事情に精通する。