対日投資、最前線の仕掛け人が舞台裏を明かす


’09年12月、中国のIT大手であるデジタル・チャイナがジャスダック上場のシステム開発会社SJIに出資した。この案件の橋渡しをした人物が、ストレージ(記憶装置)販売などを手掛けるキング・テック(東京都中央区)の王遠耀社長だ。

「きっかけはリーマンショック直後の’08年12月のこと。香港でデジタル社の経営トップと会食した際、急落する日本株の話題になり、『SJIの時価総額が100億円になった』と話すと、デジタル社側が『そんなに下がったか。出資の可能性があるか打診してほしい』と言うのです」

デジタル・チャイナはIBMのPC部門を買収したレノボの主要企業。ハードからソフト開発に力を入れようとしていた。

「SJIは、2000人以上ものソフト開発の専門家を抱え、先端技術に明るく、デジタル・チャイナには格好の提携先に映った。また、SJIにとっても中国進出は次の活路となるため、両者の利害がぴったり合った」

また、SJIの李堅社長と王社長は在日中国人経営者で、3社のトップが中国語で会話できることも大きかったという。今後も同様に中国人がトップを務める企業同士が手を組むケースは増えそうだ。

現在、デジタル・チャイナはSJIの筆頭株主。キング社も今年6月、東証マザーズ上場のリミックスポイントの筆頭株主になるなど勢いは活発だ。しかし王社長は、「大きな動きはこれから」と言う。

ファンネックス・アセット・マネジメントの肖敏捷チーフエコノミストも「可能性を感じるのは証券会社です」と話す。

「日本株が低迷する一方で、中国株に投資する投資信託はよく売れています。それは中国国内の証券会社でも運用できるわけで、ならばその販売チャネルを買ってしまったほうが利益を上げられる。大手証券は無理だとしても、中国関連の商品に強みを持つ中堅どころならば十分に考えられます。中国にとっては、実においしそうな市場です」

驚愕話が出てもおかしくない。



王 遠氏
66年、中国福建省生まれ。’96年、関東学院大卒。’00年にキング・テック(東京都中央区)を設立し’09年12月にSJI社外取締役に就任。’09年9月期の連結売上高は約40億円



肖敏氏
’64年、中国生まれ。’94年、筑波大博士課程単位取得。大和総研上海事務所首席代表などを経て、現職。著書に『人気中国人エコノミストによる中国経済事情』(日本経済新聞出版社)