経済アナリスト・永野良佑氏が予測!企業情報から的を絞れ



 「中国資本が狙う日本企業の特徴は、一に安さ、二に知名度、三に資金を欲していることです」

 そう言うのは、中国企業の動向に詳しい金融アナリストの永野良佑氏だ。永野氏が言う安さとは、ズバリ、買収や増資の金額が手ごろなことだ。

 「中国資本は、バブル期の日本がニューヨークの高層ビルをスッ高値でんだような無茶はしません。コスト感覚があるので、予算内でいい会社を買うのが基本です」

 まずは予算ありき。その額は「30億円前後」が目安となる。

 「ラオックスのスポンサーとなった蘇寧電器が、日本観光免税と合わせて19億円で50%超。レナウンに増資した山東如意も40億円弱で41.5%の議決権を得たように、中国資本は20億40億円程度で、経営に口が出せる出資比率を確保したい。予算30億円で最低30%の議決権を維持するとなると、時価総額60億70億円の会社がターゲットになりやすい」

 第2の知名度については、日本人の大半が知っているブランド力があるかどうかが評価の分かれ目。中国人が知っていれば、なお良し。

 「たとえ中国人が直接的に会社名を知らなくとも、『本社が“銀座”にある』、『中国人の誰もが知るブランド品を扱っている』などのアドバンテージがあれば、高評価に繋がります」

 あのレナウンも、かつて英国の名門ブランド・アクアスキュータムを傘下に置いていたことが、投資のゴーサインに一役買ったことは間違いないそうだ。

 そして第3の「資金欲しさ」という特徴だが、その背景には中国側にとっての「投資のしやすさ」がある。

 「日本企業を敵対的買収するのは事実上不可能。自力で資金調達できる企業も外国企業が入り込む余地は少ない。その点、明らかにカネに困った企業は障壁が低い」

 資金欲しさを判断する評価軸としては、「当期利益が継続して赤字かどうかがポイント。3期連続赤字なら、入り込むスキありと見なされます」。そのうえ、自己資本比率が10%を切っていれば、買収や提携を検討する可能性は増す。

 また、業種ではメーカーか小売り、流通などが有望とのこと。

 「反対に、不動産、建設、金融などは、日本国内に限定されがちなビジネスのため欲しがるとは思えない。そこでは中国全土で展開できるかどうかが問われるのです」





永野良佑氏
外資系金融機関でストラクチャード・ファイナンス業務に従事した後、金融アナリストとして独立。『これからの「金融ルール」がわかる本 』(PHPビジネス新書)など著書多数