日本企業買収の本格化は2012年以降になる!?



 「欧米ではなく、中国に買収されたという心理的なインパクトや抵抗感が日本人にある。そのため、これまでの買収のケースは実態以上にマスコミなどで大きく取り上げられている懸念があります」

 中国マネーによる日本企業買収の動きにあえて慎重論を唱えるのは、金融アナリストの陳満咲杜氏だ。日本買いは「今後も増加傾向にあるだろう」と予測しながらも、「本格化するのは’12年以降」だと言う。

 「現在の円高がさらに進み、恐らく’12年までは解消されないはずです。人民元はドルと連動しているので、今は中国企業にとって対日投資は得策ではない。逆に言えば、不調の日本企業は今のうちにさっさと売っておくべきとも言えます」

 それでも中国が対日投資を行う背景には、リーマンショックで欧米諸国が痛手を受けたのに対し、中国経済が堅調であることが挙げられる。そして、中国が日本企業を買収する理由が3つあると、陳氏は指摘する。

 「技術、ブランド、市場です。レナウンを買収した山東如意科技集団がそうであるように、買収する側の中国企業は必ずしも有力な巨大企業ではないのです。どちらかというと、地方の無名企業であることがほとんど。しかし、そうした“成り上がり”企業にとっては、日本で陳腐化した技術や日本企業の持つブランド力が、中国市場でまだまだ通用すると考えています」

 かといって、技術力はあるけれど、業績不調で時価総額が低い日本の技術メーカーが狙い目なのかといえば、で大きく取り上られている懸念があります」

 中国マネーによる日本企業買収の動きにあえて慎重論を唱えそう単純な話でもないという。

 「そうした中小メーカーは、下請けや孫請けという日本独特の産業構造に組み込まれています。大元である大企業の持つ抵抗感が大きな障壁になるのです」

 そこで、陳氏が勧めるのは、中国マネーに買収される日本企業よりも、日本へ来る中国人相手ビジネスへの投資。これは前出した亜州IR代表の又井氏の考えとも共通する部分がある。

 「日本に来る中国人観光客を相手にした観光産業や小売業といったセクターの株価には、これからさらに注目でしょう」

 いずれにせよ、中国マネーが日本企業再生の一助なのは確か。中国マネー銘柄は投資熱再燃のカンフル剤になるか。




陳 満咲社氏
株式会社陳アソシエイツ代表取締役。日本、中国、台湾地域をカバーした執筆、講演、情報サービス、投資家教育などで活躍。主な著書に『FXトレーディングの真実』(小社刊)など








「相場の宿命 2012年まで株を買ってはいけない」


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