株式評論家・山本伸氏が予測!ワケありな赤字企業を狙え



 「中国マネーが出資した日本企業の共通点は、経営状態がボロボロだったということです」

 そう話すのは株式評論家の山本伸氏。’09’10年にかけて実現したラオックス、SJI、レナウン、ホッコクは、いずれも出資を合意した時点で最終損益は赤字だった。

 「いろいろな付加価値があったにせよ、当然、安く買い叩けた。そもそも買収したのが中国企業だからこそ大きく報じられたのであって、買ったのが欧米企業だったらさして注目を集めない規模です」

 そこで次に買われる企業も「赤字だと予想がつく」という。特にセイコーHDだ。今年4月、村野晃一会長兼社長を電撃解任し、内部のゴタゴタが露呈したばかり。 ’10年3月期は363億円もの最終赤字を計上している。

 「創業家のお家騒動のため、ブランド力が株価に反映しておらず、安く買える。また、解任された役員が銀座4丁目周辺の土地を買い漁っていたことも知られています。中国人は“銀座”という土地ブランドを好みますし、不動産に投資したい中国企業にとって、この点はかなり魅力的に映りそうです」

 ウイルスソフト大手のソースネクストも、「更新料0円」が消費者の支持を得たが、経営はさっぱり。2期連続の最終赤字で、直近では106億円の赤字にあえぐ。

 「ソフト購入者から更新料を取らないビジネスモデルが苦境の原因ですが、市場シェアは圧倒的です。日々、ウイルス定義を更新するため、膨大な数の電子メールアドレスを保有しています。この点に魅力を感じる企業は必ずある。8月に提携を決めたばかりの中国検索最大手・百度(バイドゥ)が動くのではないでしょうか」

 ユニヘアー(旧アデランス)は、スティールパートナーズが大株主なのはご存じのとおり。’10年2月期は98億円もの最終赤字となり、転売利益を得たいスティールにとっては頭が痛いはずだ。

 「経営不振の背景には、消費者からクレームが多い割賦販売を自主規制していることがあります。ネックは国内事情なので、中国に進出すれば業績が好転することもありうる。リッチになった中国人はカツラを欲しがるでしょう」

 山本氏が挙げた4銘柄で最も赤字が多いのがアパート賃貸大手のマンスリーマンションのレオパレス21。’10年3月期は790億円にも上る。

 「オーナーに対して家賃収入を保証するビジネスモデルが泣き所ですが、もし中国企業が買収すれば、留学生などの中国人を入居させて空室を減らし、業績を改善できそう」

 また、それ以外にも日本企業が狙われるポイントはあるという。

 「日本企業の株式持ち合いの解消に注目です。会計制度の大改革で、保有株式が時価で計上されるようになり、株式持ち合いが経営上のリスクと認識されるようになった。そこで、銀行などがこれまで保有していた銘柄を放出し、中国資本が買うという構図ができるかもしれません」

 邦銀の動向にも要注目したい。






山本伸氏
株式評論家。マネーリサーチ代表として経済情報誌『羅針儀』を主宰。『株式新聞』では「山本伸の株式調査ファイル」を連載中。株、商品先物など金融に関する著書多数