今後の金価格の見通し



 5年後に関して言えば「5桁かなぁ」と、最も高い値を予測した杉田氏だが、10年後に関してはとんでもない暴落を予想している。その理由とは?

 「いい話ばかりも何なんで、最悪のシナリオを想定した場合の話です。金がこのまま5桁、6桁まで上がったら、ハイパーインフレになっている可能性が高い。今のユーロ危機が終わらず、ヨーロッパがぐちゃぐちゃになって、アメリカの株が暴落、中国や日本が持っている米国債が紙くず同然になったら、誰もドルの価値を信用しなくなる。それじゃまずいので金本位制の固定相場に戻るんじゃないかと。1トロイオンス100ドルとかに決めて新しい紙幣を印刷するとか。まあ、これは一番最悪なシナリオですけどね」

 金が上がるのはいいが、景気低迷もそこまで行ったら最悪。

 前述したイエメンとサウジアラビアの戦争など、有事を見越すと5年後に2000ドルまで上がるというのが植田氏の見立てだ。

 「ただし円安が進んでいることを考えると1g 当たりだとさらに上がり、試算すると対ドルが150円なら9647円。200円なら1万2860円です

 今の3倍から4倍になるという予測になる。ボロ儲けだ。さらに10年後には5000ドルになる可能性があると豪語する。

 「金生産トップの南アフリカでは新しく鉱山会社を作るなら100%、既存の会社でも26%黒人資本にしないといけなくなって、欧米の資本が逃げ出しています。するとM&Aが進んで、寡占化が起こる。結果、価格が支配できるようになればあり得る数字でしょうね」

 それに乗らない手はない。

 金価格を考えるなら、まずは金の国内価格を理論的に導き出すことだと語るのは青柳孝直氏。

 「理論値はCOMEX(ニューヨーク商品取引所)の先物相場とドル/円為替から導き出すことができます。現在の金先物価格は1トロイオンス(約31g)1200ドルなので、グラム換算するために31で割ります。それに為替レートを掛けた数値が、国内金価格の基本となります。ここ数年で日本国債が暴落し、円が急落する可能性がありますから、金価格が現在の倍の7000円以上になることも容易に推測できます。3000円割れがあれば買いでしょうね」

 歳出が膨らみ、国債発行額は増える一方だが、人口は減少し、経済成長も見込めない。そんな日本にいる以上、世界の政治経済と連動した金の動向に目を向け、賢く運用したいものだ。

 20年以上にわたって金相場を見てきたファイナンシャルプランナーの松島氏は、現在の世の中が激動の時代に突入していると判断。最終局面を迎えた5年後には、金の高騰は確実であろうと見ている。

 「最終局面となる'14年くらいには株や債券などの有価証券の価値が下落するだけでなく、通貨自体の信用がなくなっていると予測しています。通貨の信用がなくなると基軸通貨の攻防戦が予測され、そのときに買われるのが金なのです。つまり国(中央銀行)同士が金の争奪戦を始めることでしょう。中国はすでに、将来の基軸通貨を狙うために金の購入を開始していると明言していますしね」

 中国に留まらず、世界の大国の中央銀行がこぞって金を買いまくる状況になれば、金が上がるのは確実だ。




金への投資方法をおさらい


 金への投資方法には現物を売買する以外にも先物取引や金価格と連動する上場型投資信託の金ETFなどの投資先がある。

「短期トレードするにも金は向いているでしょう。底値があって安定していますし、レバレッジの利いた投機に耐えられるメンタルがあるならやってもいいかと。しかしお勧めは現物。貨幣のように紙くずになることはないですから、資産を守るという意味でも現物がいいです」と杉田氏。植田氏も「金の魅力は安定した"値上がり"に加えて"安心感"。現物なら有事の際も持ち運べ、世界共通で最低限の価値を保ち続けますから」と語る。どうやらプロのお勧めは現物保有のようだ。