年内に国内初の証券取引所が設立?
動き出したメコン経済カンボジア投資の「夜明け前」



 「日本の'50年代後半ぐらいを想像してください。住宅は一昔前の、古いものが中心です。道路も狭く、多くは未舗装です」

 カンボジアの現状を日本の原風景と重ね合わせるのはアジアン・バリュー代表の山野浩二氏。

 「将来が楽しみですね。まるで日本の高度経済成長前夜を見ているかのようです」

 カンボジアの成長要因としてまず山野氏が挙げたのは、住宅をはじめとする消費の高まりだ。

 「住宅には、建材から内装の細かな部品まで、さまざまなものが必要ですから消費の裾野が広いんですね。カンボジアの人口の約7割は30歳以下で、これから結婚して子どもを授かって家を建てる若い世代が中心ですから、消費の増加に伴って景気が良くなり、成長していくと考えられます」

 次に、インフラの整備が本格化してきたことに触れた。

 「メコン川の流域の国々を縦横に結ぶ、経済回廊と呼ばれる幹線道路が、日本のODAを受けて開発されています。これによって、経済活動や投資活動がより活発化することが期待できます」

 経済回廊の開発は、観光産業にも大きく寄与している。

 「特に中国、ベトナム、タイ、韓国の観光客が近年急増して、カンボジアのGDPを押し上げています。世界遺産のアンコールワットの、まだ公開していないエリアを整備する事業も進んでいます」

 さらに、天然資源の宝庫である点も見逃せないと山野氏はいう。

 「タイ湾沿岸では多量の石油や天然ガスに加え、ボーキサイト、金などが算出されます。カンボジアへの投資を後押しする要因といえるでしょう」

 そんなカンボジアに、近年積極的に投資をしている国が韓国だ。

 「プノンペンの経済開発特区でも、韓国企業の姿を多数見かけます。

 一方日本はといえば、ヤマハと味の素、それからタイガーウィングという関西の靴のメーカーぐらいしか見かけません。カンボジアはアジアの親日国とも言われるのに、少し寂しいですね」

 数年前から、プノンペン市内に証券取引所を作る動きがある。

 「予定より遅くなっていますが、おそらく今年中にはできるのではないかと思います。それまでは個人でカンボジアに投資するのは難しいでしょう。カンボジア成長の恩恵を受けたいなら、やはりオープンしてすぐが狙い目です」





■山野浩二氏
アジアンバリュー代表。アジア全般の経済・金融ジャーナリスト。
著書に『タイ株入門』『これから本番!ロシア株入門』(ともに情報センター出版局刊)など




投資信託でカンボジアを買う!


 現在、もっとも手軽にカンボジアに投資する方法は投資信託だ。国内で投資できる唯一のカンボジア投資信託が、岩井証券が販売している「ベトナム・カンボジア・ラオス3国成長株ファンド」(メコンのめぐみ)である。

 メコンのめぐみが投資対象とするのは文字通り、ベトナム、カンボジア、ラオスの上場・未上場株式。3か国に投資する円建ての外国投資証券と、日本のマザーファンドの2つに投資する、ファンド・オブ・ファンズ方式で運用されている。このうち、外国投資証券の組み入れ比率は90%以上となっている。

 この外国投資債券の株式組み入れ比率は70%以上がベトナム株。カンボジア株とラオス株は最大でも15%までしか組み入れられない。とはいえ、個人で買うにはハードルが高い未上場株に投資できるという点で、その意義は大きいのではないだろうか。

 '10年6月2日現在、基準価格は1万395円、純資産はおよそ26億円、6か月のリターンは11%となっている。

 岩井証券に問い合わせたところ、「今後はカンボジアの個別株取引を扱うことも検討中」とのこと。カンボジア投資に乗り遅れないように注目しておきたい。