[エジプト]ナイルのたまものは新たな世界の工場に!


 尻馬氏が注目しているアフリカの国の多くは、大陸の北部にある。

 「サハラ砂漠以北の国々には、ヨーロッパや中東が近いという地理的な利点があります。治安も比較的よく、おすすめできます」


 エジプトは、国境を越えればすぐに中東の国々と繫がる。

 「10年ほど前から、さまざまな企業がエジプトに進出してきました。地理上の利点を生かすことはもちろん、人件費が安く済むこともその理由の1つです」

 もっとも熱心にエジプトに進出したのは中国なのだそうだ。

 「世界の工場として安い人件費を売りにしてきた中国よりも、さらに人件費が安く済むのです。エジプトが新しい世界の工場となる日が来るかもしれません」

 エジプトへの投資は投資信託が手軽だ。エジプト株式市場の上場銘柄から25〜30銘柄を選んで分散投資するヒューミント・エジプト株式オープン(愛称:ナイルのめぐみ)が、日本で買える唯一のエジプト投資信託となっている。




[モロッコ]
魅力ある観光地はユーロ安も吹き飛ばす


 中東の隣がエジプトならば、ヨーロッパの隣はモロッコといっていいだろう。アフリカ大陸の北西部にあり、ジブラルタル海峡を越えればそこはスペインだ。

 「モロッコはその地の利を生かして、観光立国を目指しています。近年、続々と観光地が整備されたおかげで、ヨーロッパからの観光客も増えています」

 こうした観光客の増加によって恩恵を受ける企業に注目したいと尻馬氏は指摘する。

 「ビール会社のブラッスリーズ・デュ・マロック、ホテル観光のRISMAなどが挙げられます。ユーロ安の局面は少々心配ではありますが、いずれも安定した成長が見込めるでしょう」

 現地の証券会社に口座を開けば、日本からこれらの会社に投資することも可能。ただ、開設には現地に出向く必要があり、難度は高い。



[リビア]ならずものは過去の姿今では投資優良国!


 かつては「ならずもの国家」と呼ばれていたリビアも、今では親アメリカ路線をとり、発展の途にあると尻馬氏が紹介してくれた。

 「アメリカのテロ支援国家指定が解除されたのが4年前のことです。その後、各国との関係改善が着実に進みました。しかしまだ、あらゆる分野に整備の余地が残っています。したがって、特に不動産・銀行・通信・小売業といったセクターは伸びるでしょう」

 ドバイショックで流出したお金の多くはリビアに集まった。

 「今や日本だけでなく、世界中の企業から投資優良国として扱われているのがリビアなのです」

 しかし、リビアに個人が証券口座を開設することはまだ難しい。リビア株を主体的に組み入れる投資信託などもない。

 「投資ができるようになったら、観光産業の伸びに注目したいですね。アフリキア航空やリビア航空のほか、格安な航空会社が誕生する動きもあります」



[スーダン]広大な土地を生かした農業に光あり


 スーダンは国土が日本の約7倍ある、アフリカでもっとも広い国。その面積の3分の1が耕作可能ながら、農地開発はあまり進んでいない。

 「それは今も続くダルフール紛争の影響です。しかし近年、中東諸国の農業への投資を皮切りに、海外からの投資も増えました」

 投資は農業だけにとどまらない。

 「カタールの不動産会社、カタールディアル社が、スーダンの首都ハルツームに5つ星ホテルやショッピングモールを建設しているなど、大きな動きもあります」

 リビア同様、スーダンでの口座開設、直接投資は難しい。

 「エジプトの投資会社、シタデル・キャピタルはスーダンの農業に投資する会社です。投資しておけば、間接的にですがスーダン発展の恩恵を得られそうです」


■尻馬氏
「尻馬投資戦略ブログ」「イスラム株の世界」などのブログ管理人。深い調査を基にした考察が人気。最近はツイッターをよく利用しているとのこと。@shiriuma




ソマリアの怪。海賊株式市場


 アフリカ大陸の最東端に位置するソマリア。この周辺の海域では、海賊事件が多発している。'08年4月には日本籍の原油タンカーが襲撃され、翌'09年3月には海上自衛隊の護衛艦が派遣されるなど、穏やかではない。昨年1月、穏健派の大統領が就任したとはいえ、依然、不安定な状態は続いている。

 そんなソマリアに、このところ「海賊株式市場」なるものが形成されているという。

 その構造は、投資対象が海賊というだけで、一般の株式市場とほとんど同じである。

 まず投資家は、海賊に対してお金や武器を投資する。次に海賊たちは、それらを利用して海賊行為を働く。そうして、得られた金品や物品などを投資家に分配する。すでに70社(!?)以上の個人・団体が海賊株式市場に「上場」しているというから驚きである。

 「非人道的な行為が続く限り、成長は難しいのでは」(尻馬氏)という見解をよそに、海賊事件の件数は年々増加している。