ユーロ危機の混乱で「新興国暴落」の悪夢は再来するのか?
リスクマネー引き上げの最悪期は既に脱したが、6月は様子見が吉



 5月6日に世界市場を襲ったギリシャショック。NYは2日で300ドル以上、日経平均は一気に350円下がったのに加え、急激なユーロ安が進行。欧州経済全般に、一気に信用不安が広がった。影響は当然新興国にも及び、4月15日から6月1日にかけての騰落率は、中国の上海総合指数が▲18・9%、インドのSENSEX指数が▲6・1%、ブラジルのボベスパ指数が▲12・3%と惨憺たる結果。今後の新興国への影響は? 引き続き、春山氏に聞いた。

 「ギリシャの国債償還が無事完了したので、投資家によるリスクマネーの引き上げはいったん落ち着くでしょう。東欧は、リーマンショック後はPIGS同様に外国資金が一気に引き揚げる憂き目に遭いましたが、生産拠点がある強みで投資は既に戻りつつあります」

 とはいえ、欧州全般でいえば、銀行が抱えるPIGS関連の不良債権問題、ソブリンリスクなどの懸念があり、景気低迷、需要悪化は免れない。そうなると、信用収縮による新興国への悪影響も心配だ。リーマンショックのときのように新興国株が軒並み下落、なんてことは、今回は心配しなくて大丈夫だろうか? 

 「6月になれば各国の決算が出揃ってきます。実体経済と比較して売られ過ぎたものは買い戻されますし、決算の結果次第ではますます売られるものも。しばらくは様子を見てじっとしていたほうがいいのは確かですが、いずれにしろ、投資家心理に極端に引きずられることはないでしょう」





インドと中国は黄色信号?


 では、各新興国の実体経済にはどのような影響があるのか?

 「欧州にエネルギーを供給するロシアへの影響は少なくない。欧州全般でガス使用を控える可能性があります」

 その他、対欧州輸出が多い資源国としては、ブラジルやオーストラリアなどがあるが、ブラジルは、ギリシャショック後、通貨レアルが急騰したほどで、マイナス影響はほぼない。オーストラリアは、投資家のリスクテイクマインドの後退が少々影響する程度だという。金の採掘国・南アフリカにいたっては、ユーロから流れた資金が金に流入し、むしろ追い風。一方、対欧州輸出が多い生産国としては、インドと中国が黄色信号だ。

 「両国が現在生産している欧州向け商品はショック前に受注したモノ。企業業績に影響してくるのは6月以降。その結果が見えるのは、早くとも10月以降なので、それまでは疑心暗鬼で売られる可能性も」

 リーマンショックの悪夢は再来しないとて、実質的な影響が見えるまでは様子見が得策のようだ。





■春山昇華氏
て、金融機関で運用関連業務に携わる。
投資を話題としたブログ「おかねのこねた」(http://blog. livedoor.jp/okane_koneta/)を主宰