人民元切り上げの狙い目から、急成長のアフリカ、将来性のイラク、
カンボジアまで。未開拓の宝の山を見逃すな



世界中の投資マネーの動向がダイレクトに響いてくるのが新興国市場の特徴といえる。最新の国際ニュース&世界情勢が新興国に及ぼす影響を理解することで、"儲けのツボ"は見えてくるのだ!




人民元切り上げはいつ? レートは? そのとき狙い目の銘柄は?
6、7月の切り上げに備えて、中国内需株に投資せよ!



 現在は米ドルに対して約6・8元の固定レートになるように管理変動相場制を取っている人民元だが、まもなくレートの切り上げがあると目されている。人民元切り上げによって、中国の輸出バブルが崩壊するとか、不動産バブルが収束するとか、さまざまな影響が囁かれるが、本当のところはどうなのか? はたまた、人民元切り上げに便乗して儲けられそうな金融商品は? 中国経済に詳しい金融専門家の春山昇華氏に聞いた。

 まずは、人民元切り上げのタイミングから話を進めていこう。大方の見方では6月とも7月とも目されるが、ギリシャ発の欧州危機の影響で、1〜2か月後ろにずれるとの声もある。だが春山氏によると、やはり6月、7月近辺が堅いという。なぜか?

 「共産党の有力者の圧力です。中国はこれまで金融を引き締めてきましたが、その影響で経済がいよいよ傷んできた。そこで、引き締めをいったんやめて、代わりに人民元を切り上げようとする動きが出てきたのです」

 注目すべきはそのレンジだが、春山氏は1〜2%を分割して切り上げ、年率15%程度にするのではないかと予想。

 「中国政府はそもそも経済成長を抑制したいんです。現に胡錦濤国家主席は'02年の就任直後から、『目標は輸出振興ではなくて、内需拡大。経済成長は7%程度が望ましい』と発言している。切り上げを分割することで、経済成長を損なわない範囲でバブルを抑制することができる。さらに、貿易不均衡を理由に人民元を切り上げたいアメリカに対して、常に切り上げていることをアピールできます」

 人民元が切り上げになれば、輸入品が元建てで安くなるので、ヒト、モノ、資金の内需シフトが起こる。実際に、中国は着々と国策による内需拡大を進めていると言う。ということで、人民元切り上げの恩恵を受けるのは、ズバリ中国内需株。もちろん食品や消費財関連の銘柄も大幅な上昇が見込めるが、それらを遥かに上回る成長が期待できる業種がある。




一番の狙い目は保険会社


 「保険会社です。内需関連銘柄が多い上海A株(上海市場に上場し、中国国内の投資家しか買えない銘柄)を大量に保有しますから、まずその含み益が期待できる。そのうえ、中国は国を挙げて保険制度を普及させる動きで、国民に民間の保険加入を促進しています」

 国家による医療保険の導入は製薬会社にも追い風に。薬を飲む習慣がなかった中国人が保険利用で一斉に利用すると見込めるからだ。


 「既に欧米の製薬会社の幹部は、向こう10年は中国で稼ぐと宣言。実際、アメリカの製薬会社は今、中国本土内でMRを急増させています。ファイザーやメルクなど、欧米の製薬株も狙い目といえるでしょうね」

 また、国家による内需拡大策は、住宅への影響も大きい。政府は、農村部から都市への戸籍変更は認めないというかつての戸籍法を改正。これを受けて、都市部への大幅な人口流入が予想される。国は都市部近郊に800万戸もの団地を建設予定。さらに、都市郊外と都心部を結ぶ地下鉄の整備も計画されている。よって、住宅・建設系銘柄の上値も期待できる。人民元切り上げによる不動産バブルの崩壊も懸念されるなか、住宅系に手を出すのは少しコワい気もするが……。

 「さほど心配はないですよ。バブルといってもアメリカのサブプライム問題と違い、庶民全員参加型バブルではない。さらに、中国政府は不動産バブルの崩壊を警戒して、すでに住宅ローンの貸出規制などを取り始めていますから。市場が落ち着くのを待って、狙う価値はあります」

 国家の舵取りはぬかりないのだ。だが、政府の口先介入こそが中国投資最大のリスクだともいう。「人民元切り上げで一番打撃を受けるのは輸出関連企業。輸出関連企業のドンの一言で、人民元の切り上げがストップする可能性も。中国の場合、政治によって経済が一変するリスクがあります」

 投資するなら、政治動向から常に目が離せない!









■春山昇華氏
内外株式のCIOなどを経て、金融機関で運用関連業務に携わる。
投資を話題としたブログ「おかねのこねた」(http://blog. livedoor.jp/okane_koneta/)を主宰




今こそ人民元建て預金のチャンス?


 切り上げの恩恵を受けたいなら、当然考える人民元預金。中国に足を運べば非居住でも銀行口座は開設できるのだが、人民元の国外への持ち出しは年間2万元に規制されている。持ち出せないのなら意味がない……と思いきや、嬉しいニュースが。香港上海銀行を母体にするHSBCの日本支店で、5月27日から、預金を人民元に両替して中国支店に口座を開けるように。利用できるのは同行に円かドルで1000万円以上の預金がある人のみで中国国外での引き出しは年2万ドル(約180万円)までと制限もあるが、1年定期の金利は何と年率2・25%!

 昨年には中国銀行の日本支店でも、1000円からの人民元口座開設が可能に。1日5000元(約6万5000円)を上限に日本で引き出しができ、円での入手金なら手数料はゼロ(元での入出金には2円/元の手数料)。ただし、対ドルでの切り上げなので、出金時にドルに対して円安に進んでいると目減りのリスクもあることに注意!